ALT(GPT)の数値が高い

ALT(GPT)が高いと診断された方のために、数値の見方や数値が高くなる原因、改善のための対処法をご紹介します。

ALT(GPT)とは?

肝臓の血液検査項目の一つ「ALT(GPT)」とは、肝臓の細胞に多く含まれている酵素のことを言います。ALTは肝臓の細胞がダメージを受けると血液中に漏れ出てくるとされていることから、ALTが漏れ出た分量を測定することで、肝臓のダメージ程度を判断しています。ダメージが大きいほどALTの数値は増加の傾向を見せ、数値が大きい場合は「急性肝炎」や「脂肪肝」などの病気のリスクが懸念されます。ALTは肝臓の細胞内だけに含まれるとされており、同じ肝臓の酵素である「AST」と合わせて両方の数値の増加が見られる場合には、肝炎の疑いが考えられます。

ALTは「アラニンアミノトランスフェラーゼ」の略称であり、1リットルの血液の中に5~40単位が基準値。激しい運動の後にも数値が上昇する場合がありますが、この場合はしばらく安静にしていれば数値が戻ります。肝臓の以上に敏感なALTに異常が見られる場合には、体に大きな負担をかけている場合や、アルコールの摂りすぎが原因として考えられます。生活習慣の乱れによって数値が大きく変動しやすいと言えるでしょう。急性肝炎の場合には、ALTの数値が2000~3000単位といった高い値になることもあります。

ALT(GPT)の数値の見方

ALT(GPT)は肝細胞でつくられる「トランスアミナーゼ」と呼ばれる酵素のことで、肝臓に何かしらの障害が起こると数値が上昇します。

厚生労働省によると、基準値は30 U/L以下とされており、これを超えると肝機能の異常が疑われます。

ALT(GPT)の数値が高くなる原因

脂肪肝

肝細胞に脂肪が蓄積してしまった状態を「脂肪肝」と言います。通常肝臓に含まれる脂肪は5%程度ですが、脂肪肝は10%以上蓄積してしまった状態です。

脂肪肝はアルコールが原因の場合と、メタボリックシンドロームや肥満が原因の場合があるとされています。

肝炎

出産時に感染することの多いB型肝炎と、注射器の使いまわしや刺青などが原因とされるC型肝炎、この2つのウイルス性肝炎がALTの数値を上昇させている場合があります。

また、多量の飲酒によるアルコール性肝炎も原因のひとつとされています。

肝硬変

アルコールの過剰摂取や肝炎が続くと肝細胞が破壊され、肝臓が固く小さくなってしまいます。

この状態を「肝硬変」と言い、進行すると元に戻らなくなってしまいます。

肝硬変が起こると肝臓の代謝機能が落ちますが、初期は症状がない場合も多いので、早期発見が重要です。

ALT(GPT)の数値を改善する方法

運動・食事療法

ALTの数値が高くなる原因の多くは「脂肪肝」であるとされています。運動や食事療法を取り入れて、体脂肪と肝臓の脂肪を落としていきましょう。

運動はまずは簡単なウォーキングからスタート。食事はヘルシーでバランスの良い献立を取り入れましょう。

肝炎の治療

B型肝炎やC型肝炎は、適切な治療をすれば治癒が見込めます。心当たりがある方は医師の診察を受け、早期改善を目指しましょう。

アルコール性肝炎の場合はまずはお酒を控え、数値が改善しても「休肝日」を設けるなど、飲みすぎない生活を心がけてください。

服用している薬の見直し

解熱鎮痛剤や抗生物質など、長期にわたって服用している薬が原因となっている場合もあります。薬だけでなく、漢方やサプリメントが原因となることも。

薬を服用している方は、医師と相談の上、一度服用する薬を見直すのもひとつの方法です。

ALT(GPT)の数値が高いまま放置した場合

ALT(GPT)は、肝臓のダメージに非常に敏感に反応します。

そのため早期に対処すれば改善が見込めますが、放置してしまうと脂肪肝の悪化・肝硬変・肝がんなどを引き起こすリスクが高まります。

肝臓のダメージは自覚症状が出にくいので、数値が上昇していたら早めに医療機関を受診しましょう。

ALT(GPT)が高いと、発症リスクがある病気

急性肝炎

急性に起きた肝臓の炎症のことを言います。薬物アレルギーによる肝障害、サイトメガロウイルスやヘルペスウイルスといった、肝炎ウイルス以外のウイルス感染が主な原因であり、肝炎ウイルスにはA型からE形までの5種類が存在します。一般に慢性肝炎と比較しても症状が激しく、A型急性肝炎では38℃以上の高熱や全身の倦怠感など、インフルエンザによく似た症状で発症します。

慢性肝炎

日本では約120万人も患者がいると推定されている、6カ月以上寺族する肝臓の炎症です。B型またはC型肝炎ウイルスの持続観戦が90%以上ですが、自己免疫性肝炎や一部の薬物性肝炎も含まれています。アルコールによるアルコール性肝炎は慢性肝炎とは呼びません。自覚症状はほとんど見られず、倦怠感や疲労などの症状もあるものの、急性肝炎よりは軽いのが特徴です。

アルコール性肝障害

飲酒の習慣が過度な人に見られがちな、肝臓に障害が起きる病気です。症状が軽い順にアルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変となります。アルコール性脂肪肝は自覚症状がほとんどありませんが、アルコール性肝硬変になると肝細胞が破壊や変性を受け、肝臓が硬く小さくなってしまいます。

薬剤性肝障害

抗生物質や解熱鎮痛剤、精神神経系の薬剤など…薬剤を使用している場合にそれが原因で起きる肝障害を言います。和漢薬や健康食品などでも発症する場合があり、肝臓に対する毒性を持った薬剤が原因の中毒性や、個人の体質によるアレルギー性が考えられます。肝硬変があると肝臓での薬物代謝機能が低下しているため、頻度は高くなります。

肝硬変

肝炎やアルコールによって肝細胞の破壊が続いた結果、肝臓が硬く小さくなってしまう状態を言います。肝硬変が進行すると元には戻らなくなることから、「慢性肝疾患の終末像」とも言われています。肝臓の代償能が機能している状態を「代償期肝硬変」、代償能が機能しなくなった状態を「非代償期肝硬変」と言います。

脂肪肝

中性脂肪が肝臓に蓄積された状態を言います。肥満やアルコールの飲みすぎなど、生活習慣が原因で起きると考えられており、アルコールが原因の場合は「アルコール性脂肪肝」、それ以外を「非アルコール性脂肪肝」と言います。慢性肝炎や肝硬変に進行する症例もあります。

肝がん

肝細胞ががん化する「肝細胞がん」や、肝臓中の胆管細胞ががん化する「胆管細胞がん」、他の部位のがんが肝臓に転移した転移製肝がんなどが挙げられます。日本人のがん死亡率では、肝がんは男性で第3位とされています。肝炎が進行して肝がんに移行する場合もあります。

ALT(GPT)を下げる成分・食べ物

アミノ酸(オルニチン)の効果

肝臓にあるアンモニアを代謝する経路を「オルニチン回路」といいます。アミノ酸(オルニチン)にはオルニチン回路を活発化させ、アンモニアの解毒や代謝を促進させる作用があるため、肝機能の改善に効果を発揮します。

アミノ酸(オルニチン)を含む食品には、キハダマグロ・ヒラメ・チーズ・えのきなどがありますが、圧倒的に多くの量を含んでいるのがしじみです。アミノ酸(オルニチン)の食品からの摂取量に関しては、過剰摂取をしても重篤な副作用はないとされています。

疲労感回復や二日酔いにも効果があるので、普段の生活にオルニチンを取り入れてみましょう。

ビタミンBの効果

体内に取り入れられたビタミンBは、一度小腸から吸収された後、肝臓に送られます。ビタミンB郡に含まれるのは、ビタミンB1・B2・B6・B12、葉酸やバントテン酸など。

肝臓に取り入れられたビタミンB郡は毒物の解毒や、肝機能を高める作用があります。ビタミンBは豚肉・うなぎ・鳥、牛、豚レバー・バナナ・あさりなど、身近な食品に多く含まれているため、手軽に摂取しやすい成分といえるでしょう。

ビタミンB郡は水溶性ビタミンのため多く取り入れても体外に排出されますが、ビタミンB6の過剰摂取による健康被害の報告もあるため、年齢ごとの摂取上限量を踏まえ、適量のビタミン摂取をこころがけましょう。

クロロゲン酸の効果

植物由来の成分「クロロゲン酸」はポリフェノールの一種で、コーヒー豆・りんご・ごぼう・じゃがいも・さつまいもなどに含まれています。クロロゲン酸は抗酸化作用があると同時に、脂肪蓄積を抑制する役割を持つため、糖尿病、肝炎や肝硬変につながる脂肪肝の予防に効果的です。

クロロゲン酸の摂取では毎日手軽に飲めるコーヒーがおすすめです。ただし、インスタントコーヒーや缶コーヒーの場合、クロロゲン酸よりもカフェインの量が高い場合もあるため、1日に飲むコーヒーは2~3杯にとどめておく方が肝機能の改善には効果的とされています。

セサミンの効果

セサミンはアルコールの分解機能を高めるため肝機能のサポートや改善に役立ちます。また同時にビタミンEと摂取すると抗酸化作用の効き目が上昇するともいわれています。

セサミンが多く含まれている食品にゴマがありますが、ゴマ1粒に対しセサミンの含有量は1パーセント未満。また、セサミンはゴマの皮に包まれているため、そのままの形で摂取してもセサミンをスムーズに吸収しづらい特徴があります。

したがってゴマからセサミンを摂取するなら、練りゴマ・すりゴマ・ゴマ油などで取り入れるとよいでしょう。

スルフォラファンの効果

肝臓の老化促進の原因となる活性酸素に対し、スルフォラファンは肝臓の抗酸化力や解毒力を高め、日々の活動で受けた負担やダメージから肝臓を守る役割を果たします。

スルフォラファンはカリフラワー・ケール・芽キャベツ・キャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれていますが、圧倒的に含有量が高いのがブロッコリースプラウト(新芽)です。ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは生育日数が少ないほど多く含まれているので、発芽3日目のブロコリースプラウトを採取して、サラダとして生で取り入れるのが効率的です。

スプラウト栽培は手軽に自宅で季節を問わず栽培が可能ですので、試してみましょう。

タウリンの効果

栄養ドリンクの要素としておなじみ、アミノ酸の一種「タウリン」。タウリンは、血液中のコレステロール値を下げる、肝臓のアルコール分解の手助けをするなどで肝機能の強化、改善をはかります。

タウリンが含まれているのは、貝類・イカ・タコ・甲殻類など。タウリンは水溶性のため、食材を汁物・鍋・スープ・刺し身などで摂取するとよいでしょう。

ただし、タウリンを過剰摂取は潰瘍の原因となる胃酸過多の原因になりますので、他の食材と合わせて料理する、または牛乳と一緒に摂取してください。また、塩分の多く含まれている貝類は、薄めの味付けや塩抜きなどの工夫をこころがけましょう。

亜鉛の効果

亜鉛は成人の体に約2グラムしか含まれていない微量元素と呼ばれる成分。

肝炎から肝硬変へ移行する経過において肝繊維化がありますが、亜鉛を摂取は肝線維化の促進を抑制に役立ちます。亜鉛は肉類・魚類・豆類・野菜類と多くの食材に含まれていますが、中でも牡蠣・チーズ・納豆・ナッツ類・豆腐などが普段の食生活に取り入れやすいでしょう。

亜鉛を含む食材を程よく日常の食生活に取り入れるなら過剰摂取の心配はありませんが、多く摂取しすぎると、胃の不調・貧血・銅欠乏・頭痛などの症状が現れる場合があるので注意が必要です。